10日の日曜日、久しぶりに行った音楽会は、今ミュンヘンで開催中の第55回ARD国際音楽コンクール、ピアノ部門の決勝@ヘラクルスザール。
コンクールの決勝ということもあり、会場は終始もの凄い緊張感に包まれていた。聴いていてあんなに緊張するコンサートは初めて。ファイナリストは3人、皆予選を勝ち抜いてきただけあって、それぞれに独特のオーラを持ち合わせていた。バックはバイエルン放送交響楽団、ずっと聴きたいと思いつつ聴けてなかったオケである。さすがにドイツでベルリンフィルと並び称されるだけあって素晴らしい、しばらくの間ハマりそーである。
河村 尚子 さん(日本) ピアノ協奏曲第2番 / F. Liszt
この曲、聴いたのは初めてだった。はじめから終わりまで圧倒されっぱなし、演奏は程よい緊張感と切れのよさ、高音の透明感ががとても印象的だった若干のミスはあったけれど、迫力もあり歌い方も繊細で、一人目でガツンと衝撃を与えられた。それにしても、リストの曲は何でああも凄まじいものが多いんだろう、弾き手をいじめてる感が^^ …。
Marianna Shirinyan さん(アルメニア) ピアノ協奏曲第4番 / Beethoven
舞台栄えということでいえば、河村さんに軍配が上がるかもしれない。でもShirinyanの出す音は、忘れがたい魅力を持ち合わせていた。澄み切ってはいるが、いわゆる金属音ではなく、ほんの少しソフトフォーカスをかけたような、淡くやさしい音。小さな音をあんな温かみをもって表現できるの人はそう多くはないんじゃないだろうか。派手さはなかったが、とても印象深かった。
Ben Kim さん(アメリカ) ピアノ協奏曲イ短調 op.54 / R. Schumann
迫力満点のKimさんの演奏、男性的なとても太い音が印象的だった。繊細な音の表現にも長けていたし、何といってもパワー溢れる力強い演奏には圧倒された。まあもっとも自分の好みとしては、上の二人の音のほうが性に合ってる感じはしたけれど。
とても楽しかった、これなら予選から聴いとけばよかったと後悔しても後の祭り。それにしても、音はまさに三人三様。同じ楽器(Steinway)を使っていることが信じられない程の変わりようだ。これだから音楽は面白い、こういった繊細な音の違いを数式で表現し、電子楽器で再現できるようになる日は来るのだろうか。なんてふと思うけれど、どっちにしても当分は無理だろうし、今のところ表現できるようになってほしいとも思わない。
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